コインパーキングで高額料金のトラブル?法的な規制について弁護士が解説してみた

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先日、さる有名人の方がSNS上で「東京のコインパーキングに車を4時間ほど停めていたら1万円を超える料金が発生した」というような投稿をしたことで、話題を呼びました。

私のような田舎者としては、魔境・東京の恐ろしさにただただ身震いするとともに、コインパーキング料金の上限について法規制などないのだろうかと気になってくるところです。

なお、事件現場がある東京都港区の令和3年における1平米辺りの基準地価は400万円を超えるようで、基準地価15万円前後の熊本市内に居住する私の常識で東京のコインパーキング料金を考えること自体がむしろ誤りということにはなってしまいますが、その点からは目をそらして、法規制の内容について目を向けてみましょう。

まず結論から述べてしまえば、コインパーキング料金の上限を直接制限するような法規制はありません。

そのような規制をせずとも、あまりに高額な料金を設定すれば利用するお客様がいなくなるということで、料金自体については市場原理によって適宜制限がされるということでしょう。

しかしながら、料金の表示自体に問題がある場合は話が別です。

一見して分かりにくかったり、誤認を招いたりする料金表示につられて車を停めてしまい、後で予期せぬ高額な料金を請求されるような場合については、市場原理に任せるというやり方では多くのトラブルを招いてしまいます。

実際に冒頭の事例のように、特に1時間あたりの駐車料金が高くなる首都圏を中心に、コインパーキングの上限料金の表示をめぐるトラブルは多く存在しているようです。

こういった場合には、適切な法的な規制の出番が回ってくることになります。

コインパーキングの料金表示についていえば、平成29年に消費者庁が「時間貸し駐車場の料金表示について」という文書を公表しています。

この文書では、消費生活センターに寄せられた相談事例や実際の料金看板の例を挙げながら、景品表示法による制限を明確にされています。

事業者に対しては法規制の内容を明確に示しつつ、消費者に対する注意喚起を行うことで、既存の法律による規制の実効性を高めようとする取り組みと言えるでしょう。

このように、事業者と消費者という関係では、料金そのものというより料金等の表示の場面で問題が生じ、それを防ぐために法的規制がかかってくる、というケースが多くなります。

直近の法改正でいえば、近年一気に普及したネット通販を中心に多発した、「お試しのつもりで購入したら定期購入になっていた」といったトラブルに対応するために、昨年特定商取引法が改正されました。

この改正により、今年の6月1日以降にネットで買い物をする際の最終確認画面では、定期購入の場合は2回目以降の代金や各回の請求時期等を明示することが事業者側に義務づけられます。

そして、ここで消費者に誤認を与える表示がされた場合には、消費者側から契約を取り消すことができるようになります(「誤認させるような表示」等については判断が難しい場合も多いので、お困りの際はまず消費生活センターや最寄りの弁護士事務所へのご相談をお勧めします)。

さらに、消費者トラブルの件数や損害額が極めて大きくなって社会問題化してくると、一定の営業行為自体が法律で禁止される場合もあります。

最近の話題でいえば、高い配当金をうたって多額の資金を集める、いわゆるオーナー商法を原則禁止とする預託法が昨年夏に改正され、こちらも今年の6月1日から施行されます。

このオーナー商法による被害は2010年ころから大きく話題になり、先日も詐欺罪等で起訴された経営者について、東京地裁で立て続けに2件の実刑判決が言い渡されています(本稿執筆時点では、1件は控訴が提起され、もう1件も一審判決は確定しておりません)。

このように、消費者トラブルが多発するような場合は、それにあわせた法規制が事後的になされることが多くあります。

裏を返せば、トラブルが多発するようになってから実際に法的な規制がかかるまでには、どうしてもタイムラグが生じるということです。

また、法的な規制がかかって法律上は契約の取消し等の対応ができるようになったとしても、事業者側が夜逃げや倒産等した場合には、事実上被害の回復を図ることは難しくなります。

自らの身を守るためには、契約をする前に自分で契約条項等を確認し、契約内容に問題がないかきちんと確認することがまず肝要なのです。

しかしながら、実際のところはあらゆる契約の条項をすべてきちんと確認するというのは大変面倒であり、かつ読んだところで意味がよく分からないということも多くあるでしょう。

かくいう私自身も、ネット通販を利用する際にはろくに中身も読まずに「同意する」のボタンをクリックしてしまう癖があります。

このように、思いもよらぬ請求を受けるといったトラブルに巻き込まれることは、誰にでも生じうる事態と言えるでしょう。

このような場合には、なるべく早く専門家に相談して最善の対応を図る必要があります。

岡野法律事務所では、今月から東京2店舗目となる新宿支店を開設しており、魔境・東京にお住まいの皆様にもより弊所のサービスをご利用頂きやすくなっております。

西日本の各地に所在する本支店とのつながりを活かしながら、皆様のお悩みに「何度でも」相談無料で付き添って参りますので、お困りの際はお気軽にご相談下さい。

文責:池上

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