LGBTQと職場の対応

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先日、東京オリンピックが閉幕しました。

今回のオリンピックはまず新型コロナウイルスが蔓延する中での開催ということで注目を集めましたが、他にもいわゆるLGBTQであることを公表した選手の人数が過去最多になったという点でも話題になりました。

LGBTQに関しては近年様々な問題提起がされており、今年は法律の世界でも、同性婚訴訟の違憲判決を筆頭に不貞慰謝料請求やトイレの使用制限に関する判決等、様々な場面で同性パートナーに関する話題があがっています。

そこで、本稿では皆様の職場で起こりうる同性パートナー特有の問題について、検討してみます。

まず、仕事をする上で最も大事な(?)お給料について見てみると、さすがにLGBTQであることを理由に基本給に差が出るといったことは中々考えにくいものの、住居手当や家族手当等の諸手当に関して、同居の親族がいることの証明として、戸籍等の公的な書類の提出を求められるケースは多くあります。

そして、現在の日本では同性パートナーの法律婚は認められておらず、公的な書類の提出は困難な場合があります。このような場合にどう対処するか、会社側も労働者側も対応に窮することがあるかと思います。

まず考えつく対応としては、いわゆるパートナーシップ制度を導入している自治体に居住しているのであれば、同制度を利用して公的な証明書を取得し、戸籍等に代える、というものがあります。

ただ、そのような制度が導入されていない自治体の場合は別の方法を考える必要があります。

同一の住居に住んでいることが分かる住民票の提出などがその一例でしょうか。しかしながら、会社側からすれば同一の住居に住んでいたとしてもそれが法律上の配偶者と同視できるような関係があるのか、それともただの友人で家賃を節約する等のために同居しているのかは分からず、このような場合に上記手当の支給を行うか否かは、判断が分かれるところでしょう。

また、賃金以外の面についてみてみると、先に挙げたトイレの使用制限などはさらに対応が難しい問題です。外見上または戸籍上の性別とは異なるトイレの利用をするとなると、他の利用者にとっては心理的に抵抗が大きいというのは否定しづらいところです。

会社側からすれば、使用を許可しても制限しても従業員から不満が出てくる板挟みの状態になることが考えられます。

この点については、冒頭に記載した裁判でも一審は使用制限を違法としたものの二審は適法とするなど、裁判所の判断も分かれているところです。

現時点では、使用制限が必要な事情や使用を求めている方の事情等に応じて判断する必要があるため、困ったら是非相談においで下さいという、弁護士としては何とも情けない結論に至らざるを得ないというのが本音です。

いずれにせよ、LGBTQに関連して生じる諸問題を解決するためには、各々がLGBTQに関する現状を認識し、そこに存在する諸問題について考えることで、社会全体の認識が変わることが必要になってくるのでしょう。

弁護士であっても、各弁護士会にこの問題を解決しようとする委員会等は存在しているものの、全体を見ればこの問題についてきちんと検討ができているのはまだ少数ということになるかと思います。

今後もLGBTQを含め社会に存在する諸問題について日々勉強をしなければならないと改めて気を引き締め、本稿の結びに代えさせていただきます。

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